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海の側の、とある静かな町はずれ。
ユーリは小高い丘の上にある白い壁の別荘で、
不在の父親に代わり管理人を務めていた。
そんなある日、父親から一本の電話が入る。
商談相手と話が合い、彼の子供達を別荘に招待したとの事。
父親の勝手な判断に憤るユーリだったが
にぎやかな雰囲気が好きな彼女は新しい住人達の来訪に期待を寄せた。
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「──やあ。君がユーリ?」
ユーリの前に現れたのは
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少し妖しい雰囲気のある 長男・ファウスト |
上品で寡黙な 次男・ミハイル |
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気さくで明るい 三男・アロン、四男・ジョシュア の美形揃いの四人兄弟。 |
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あまり男性に免疫のないユーリは
少し気後れするものの、 持ち前の明るさで兄弟達とすぐに打ち解けていった。
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ある夜、寝付けないユーリの目に飛び込んできたのは
首筋に唇を寄せて血を吸う四男ジョシュアの姿。
なんと彼らは太陽や十字架、ニンニクなどを恐れない 進化したヴァンパイアの一族だと言う。
呆然とするユーリ。
正体を知った者は本来殺さなければならないが
せっかく仲良くなったのだからと彼らに1つの提案を持ちかけられた。
「君を殺さない代わりに、血を吸わせてほしい」
血を与える事以外は、親しい友人達とのルームシェアと何ら変わりはない生活。
男性と手を握った事もないユーリを出来るだけ気遣いながらの吸血行為。
血を吸われる時、肌に触れる彼らの唇。
彼らは彼女の血を"とても飲みやすい血"と賞賛した。
徐々に明らかになっていく、 彼らの心の奥底にある闇と過去の記憶。
そして、彼女の小さな胸の奥に灯ったほのかな想い。
彼女がそれを「初恋」だと認識したその時から、世界が変わりだす─────。
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