【???】
「……………………」

なんか見られてる……。

めちゃくちゃ見られてる……!!

【くるみ】
「あの……何を、見てるんですか……」

【???】
「んと〜……キミのこと……」

【くるみ】
「どうして……見てるんですか」

【???】
「……目の前に〜……いるから〜……?」

【くるみ】
「……」

おかしな人だけど、やっと見つけた人間だもの、
ここがどこかだけでも聞き出さないと。

【くるみ】
「あの……」

【???】
「キミって、人間〜……だねえ〜……」

【くるみ】
「え??」

にっこり笑ったと思ったら、
のんびりとした口調で、
当たり前のことを言い出した。

【くるみ】
「……人間です」

それ以外、何に見えるって言うの?

【???】
「だね〜、だね〜……。
魔力が全く感じられない〜……。
人間、だねえ〜……」

魔力? 一体何の話??

【???】
「珍しい〜、珍しい〜……。
これはいい物見つけた〜……」

【くるみ】
「いい、物……?」

なんでこの人、こんなに嬉しそうなの?

【???】
「きっと〜……いいお金に、なる〜……!」

え、え……!?

ひょいっ。

【くるみ】
「……きゃあああああっ!!!」

突然抱きしめられたかと思ったら、
ぐいっと持ち上げられて
肩の上に抱きかかえられた。

【くるみ】
「な、な、な……!!」

【???】
「今日は〜ご馳走〜……食べられる〜♪」

【くるみ】
「ちょっと、降ろして下さい!!」

【???】
「お月様〜まんまる〜……♪
ごちそうも〜……まんまる〜……♪」

派手な音を立てるくらい
力いっぱい叩いているのに、
全然痛くもかゆくもないみたい。

その人はご機嫌で鼻歌を歌っている。

【くるみ】
「放して、放して〜!!」

いくら叩いても暴れても、びくともしない。

そのうち私の方が疲れてしまい、
ぐったりとその人の肩にもたれかかった。

この人……背中に羽つけてる。

変な趣味、気持ち悪い。

【くるみ】
「……」

私、これからどうなるの?
どこに連れていかれるの?