【アーシェ】
「うん! あ、ねえ、ゼロも乗ってみる?」

【ゼロ】
「あ? いや、俺は……」

【アーシェ】
「一緒に乗ろうよ!」

戸惑うゼロの手を引っ張り、
無理矢理ブランコに乗せる。

【ゼロ】
「お、おい……」

ゼロはすぐにでもブランコを降りようとしている。

私は意地悪をして、ゼロが逃げられないように
膝の上に座ってしまった。

【ゼロ】
「おまえ……」

【アーシェ】
「ふふ!」

【ゼロ】
「まったく……」

ゼロはゆっくりとブランコを漕ぎ始めた。

【アーシェ】
「ゼロ! もっと高く漕いでよ〜」

【ゼロ】
「わ、わかったからはしゃぐな……」

【アーシェ】
「だってすっごく楽しいんだもん!
誰かの膝の上でブランコに乗るなんて、
パパ以外では初めてだし」

【ゼロ】
「ま、まあ……普通は、しない、な」

【アーシェ】
「あ、今、私のこと子供みたいって思ったでしょ」

【ゼロ】
「いや! 別にそういうことを思ったんじゃないぞ、
全然、そんなこと思ってないぞ!」

【アーシェ】
「……?」

やけにゼロが慌てた声を出すから、
私はちらっとゼロの方を盗み見た。

ゼロは顔を真っ赤にして、
少し俯き加減でブランコを漕いでいる。

【アーシェ】
「どうしたの? ブランコ、つまらない?」

【ゼロ】
「いや、そうじゃなくて……。
こんなもの乗るの初めてだったから、
その、なんというか、恥ずかしいんだ……」