【ファウスト】
「……ふぅ。いい匂いだ。風呂上がりか?」

【ユーリ】
「ほ……ほんとに……や、やめ…………!?」

頬に手がふれたと思った途端、唇を熱いもので
ふさがれる。

目を閉じる間もなく、わたしはファウストに
キスをされていた。

【ユーリ】
「ん…………ンッ……っ!」

お酒と煙草の匂いに、むせてしまいそうになる。

頭の中が真っ白になって、どうしたらいいのか
わからない。

長い指先がわたしの頬を撫で、生暖かな舌先が
唇を割り入ろうとぶつかっていた。

初めての感覚に我に返る。

【ユーリ】
「やめ…………っ!」

ファウストをドンと突き飛ばしたわたしは、
はじかれたように手すりにしがみついた。

【ユーリ】
「はぁ……はぁ……」

肩で息をしながら、自分の口にふれる。

ファウストの唇の熱っぽさが残っていた。

……嘘。キスしてしまった……。

ファウストに初めてのキスを……。