ああ、どうしよう。困っちゃった。

泥だらけの毛布の前で、私は重くため息をついた。

今日はとってもいいお天気だったから、彼の真似をしてお布団を干してみることにした。
彼は丁度買い物にでかけてるから、帰ってきてお手伝いをしたことを誉めてもらおうと思ったのに。
……買ってもらったエプロンまでつけて、誇らしげにふかふかの毛布を見せるつもりだったのに。

ああ、どうしよう、真っ黒だよ。

できるだけお日様に当る部分を多くしようと思って、窓からどんどん毛布を外に出していったら、手を離した瞬間、毛布はつるっと下に落ちていった。
慌てて庭まで下りて毛布を拾ったけど、枯葉や泥がついて真っ黒。
お洗濯の仕方もわからなくて、私はさっきから毛布の前に座り込んで呆然としている。

「おい、帰ったぞ」

程なくして彼が帰ってきて、私の頭にぽんっとお菓子の箱を乗せた。

「土産だ」

私の大好きなイチゴ味のチョコレートがついたビスケット。
だけど今日はこれは受け取れない。だって、彼のお仕事を増やしちゃったんだもん。

「ん、どうした?」

お菓子の箱を返した私を心配そうに見た後、彼は後ろの泥だらけの毛布を見て、事情を察したみたい。
おかしそうに大声で笑い、私をぎゅっと抱きしめた。

「あはは、そうか、手伝いをしてくれるつもりだったのか」

コクンと小さく頷くと、彼は私の頭をくしゃっと撫でて、それから深く口付けをしてきた。

「んっ……そんな悲しい顔するな。なに、俺は毛布なんていらない、毎晩おまえがあたためてくれるからな」

そう言うと、まだ眠る時間には程遠いのに、彼は私の服を脱がし始めた。

それからベッドに寝かせると、私の隅々まで探検するみたいに肌の上で唇を這わせ、足の間に顔を埋めて体の中で一番感じる部分を舌で弄り始めた。

彼の舌は優しくて、でも激しく私の体を乱れさせる。

私のどこが一番よくて、どうすると喜ぶのか知り尽くしているから、私もされるがままに体を委ね、素直に快感に溺れられる。

舌の刺激じゃ物足りなくなった頃、彼はぺろりと自分の指を舐めて奥深くまで入れてきた。
大きな手に比例した長い指は、簡単に私の一番奥まで届いてしまい、私の中をかき回した。
自分の耳にも溢れる音が聞こえるくらいに雫が零れてくるのがわかる。

「おまえはほんとに俺の指が好きだな」

うん、好き、大好き。
……でも、もっと好きなのは他にある。

甘えた目で彼を見たら、何も言わずともわかってくれたみたい。
手のひらで私の胸をゆっくり揉みほぐしながら耳たぶを軽く噛んで囁いた。

「おまえが望むものが俺にわからないはずがないだろ?」

抱きかかえられ、今度はうつ伏せにされると、指よりももっと熱く太いものを押し込まれて、体中が彼でいっぱいになった。
もっともっと彼を感じたくて、私は自ら腰を振り、彼が与えてくれる甘い刺激を求めていった。

「んっ……くっ……そんなに焦らなくても……俺ははここにいる……ぞ。いつだって……おまえの傍に……ずっと……ずっと……」

背中にかかる熱い息さえ快感に変わり、私は彼の名前を呼びつづけた。

「そう……おまえが俺の名を呼んでくれる限り……、俺を必要としてくれる限り……、俺はおまえの傍を離れない……」

ほんとに?
私が名前を呼び続ける限り、あなたは私から離れないでくれるの?
約束してくれる?

彼の言葉が嬉しくて、再び名前を呼ぼうと思ったのに、あとはもう快楽の波に流されて言葉にはならなかった――。




END